稲刈り
今年の稲刈りは僕にとって初体験の雨中での作業でした。そのような寒い中参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
当日まで、ずっと、雨かな、大丈夫かなと心配していたのですが、朝4時ごろに起きてみると、降っていません!5時になっても降ってきません!これは少しでも刈ってしまえと、慌てて起床の太鼓を鳴らしました。その勢いで準備が出来次第、田んぼに向けて出発しました。現地についても、まだ降ってきません!少しでも刈りたいとの想いから道具を手に突っ走って田んぼまで!勢いに任せて、少しでも多く刈ろうと、そのまま稲刈りを開始しました。
あれっ?思ってみんなが稲架掛けように縛った束を手にしてみると、嫌な予感が的中しました。緩々なのです。前夜も市間寮で、ここがしっかり結べてないとねと念を押していたのに、この現実です。でも、子どもはそんなものです。今を生きているので、今急げ!となれば全力で急ぎます。そこに全力を注ぎます。
「はじめ」をしっかりとしなかった僕の落ち度です。走り始めてしまったみんなには悪いのですが、しょうがないので一旦みんなに手を止めてもらいます。そして、しっかりと縛れていない旨を伝え、全員自分の作った束を合格が出るまで僕に見せてもらうよう伝えます。急ぐに、しっかり縛るがインプットされれば、今度はその形で全力です。ほぼ全員、一回で合格してくれるので、あっという間に再スタートを切ることができました。ここで、「何がいけないんだ!」「言われた通りにしたんだから、自分は悪くない。」、「教え方が悪いんだ。」等々が一言も出てこないのです。だからと言って、単に従順なわけでもありません。これがはじめ塾で言う主人公意識であり、本気なのですね。自分が主で、やらされているという従だとはこれっぽっちも思っていない子達なのです。そして、本気で目の前のこと、稲刈、に取り組むことができるのです。このように育ってくれているだけで、嬉しいです。
しかし、稲刈りを始めてからすぐにポツリポツリと降り始めました。それでも次々にきてくれる人と一緒に稲刈りを進めます。しばらくすると本降りになってしまいました。寒いし、風邪を引きたくないので、無理しないで寒い人は早く上がって下さいと声を掛けました。その答えが楽しそうな大声で「暑い暑い、あ~暑い!」です!こちらは逆に、そうかよしっ!と気合を入れられます。それでも、大人の参加者は雨具を身につけているのですが、子ども達はずぶ濡れなので風が吹くとガタガタ震え始めるのです。そうなって初めて「上がってもいいですか?」と聞いてくるので、「早く上に行こうよ!」と答えると慌てて宏南庵へ戻ってくれるのです。それなのにしばらくして周囲を見回すと、いつの間にか彼らが戻ってきて稲刈りをしているのです。声を掛けると、「もう大丈夫なので!」と手も休めずに答えてくれるのです。
子ども達のこの稲刈りの勢いです。下手をしたら、黙々と手を動かす苦行のような稲刈りになりそうなところ、そんな雰囲気を吹っ飛ばして最後まで勢いよく刈り終えることができました。世の中では、このような時稲刈りを続けるのであれば、大抵大人やリーダーが叱咤激励して終わらせそうなものです。ところが、子ども達があの場の雰囲気から大人達までみんなを、勢いよく引っ張って最後まで楽しく稲刈りを終わらせたのです。今年は、そんないかにもはじめ塾らしい気持ちの良い稲刈りをすることができました。参加してくださった子ども達と親御さん方、そして天気にも心から大感謝です。